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2017年9月16日 (土)

作業部屋(4)

I'll be back with another English post soon until then stay trued and happy wheels!

 

作業部屋の記事で述べたように、
転居後の片付けや整理をほぼ終えて、やっと作業部屋に手を付けられる状況になりました。
今まで作業部屋(1)では、
作業部屋の心臓になる、古い自転車屋さんの古時計を直し、
作業部屋(2)では、作業部屋の胴体となる作業台を作り、
作業部屋(3)で、使用時に一時的に体の一部となり、まるで「四肢」である、工具でした。
今回は、作業部屋に「右手」を与えます。

 


作業部屋の股肱(ここう)です。
昭和20年代ごろの畑屋製の万力。
このような万力は、日本語で「立万力」といいますが、英語では様々な名称があります。
Blacksmith Vise、Leg Vise, Post Viseなど。

それぞれの名前の由来を見て見ましょう。Img_0388_2

 

Blacksmith Vise (鍛冶屋さんの万力)
名前の通り、鍛工の職場によくある万力。
このような万力は横万力より丈夫に作られているし、挟み部が浮動スクリューで旋回し
鍛工の酷使から守られています。

Img_0400

Post Vise (立万力)
立形の由来
横万力 と違って作業台の上面だけではなく、柱にも取り付けられます。
Img_0389

 

Leg Vise (脚万力)
万力の下部に付いている長い棒からの由来。

この棒の特徴は、万力自体や万力に挟む部品をたたく時、その衝撃を床へ移すためです。
Img_0390

 

この万力は酷使に耐えるだけではなく、畑屋工機株式会社に自転車修理で用いるために特別に設計された万力です。
(畑屋について作業部屋 (3) 参照)
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Img_0391 Img_0395

 

畑屋は、工具を国内のみならず、海外にも輸出販売していました。
下記の図は、英語版のカタログから抜粋しました。
Note:  "Specifically designed for bicycle repairing."
「自転車修理で用いるために特別に設計された万力である」

 

Img_0365_2

 

日本語版のカタログにも載っています。
「拾五ヶ年保証」
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万力の挟み部に注目
上面と右側面に小さな凹面があります。
これは円筒形の小部品(コッターピンやペダル芯、ブレーキロッドなど)固定用。

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上面と右側面に凹面あります。
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上面だけで固定
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右側面だけで固定
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一番下の大きな横凹面に注目
これはフレームを挟むためにあります。
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畑屋製の万力用フレームクランプ。
どんな万力でも使用可能。
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バネ仕掛け式で便利
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フレームを縦にも横にも固定することができます。
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このような古い自転車専用の立万力は、実に頑丈で代々に伝わってもまだまだ使えます。
「古い」という言葉は、
「衰えている」や「もう使用価値がない」の捉え方が多いですが、
しかし、必ずそうとは限りません。

現代の使い捨て社会の中、消費者運動を加速させるマスマーケティング戦略で、
「新発売」が今までの物よりいいと流されがちですが、「古い」からと言っていつも新発売に叶わない訳ではありません。
古い物が長持ちし、もしくは新発売より良質で、おまけに安価な場合も少なくありません。

 

今回は、「作業部屋連載」において、
作業部屋に、「右手」を与えたことについて書きました。

次回は作業部屋に「左手」を与えます。

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